認知症検査

軽度認知障害(MCI)スクリーニング検査

認知症認知症予備軍である軽度認知障害を早期に発見することを目的とした検査です。この検査で軽度認知障害のリスクを判定します。

65歳以上の人に占める認知症の人の割合が、2025年には5人に1人(約700万人)に増加すると予測されています。
現在、認知症は症状の進行を一定期間遅らせる薬はあるものの、根本的な治療薬はありません。認知症予備軍である軽度認知障害を早期に発見し、認知症が発症する前に予防をしていくことが大切です。
軽度認知障害は、健常者と認知症の中間の段階を指します。日常生活に支障はありませんが、そのまま過ごすと5年で半数以上が認知症に進行すると言われています。
認知症の中で最も頻度が高いアルツハイマー型認知症は、主な原因物質であるアミロイドベータペプチドが脳内に蓄積し、認知機能が少しずつ低下していきます。
アミロイドベータペプチドを排除する機能を持つタンパク質やアミロイドベータペプチドの神経への毒性を防御するタンパク質が知られています。軽度認知障害スクリーニング検査では、これらのタンパク質のうち血液中の3つのタンパク質を調べることで、認知症予備軍である軽度認知障害のリスクを判定します。判定はアミロイドベータペプチドによる障害を直接反映しているものではなく、これらの障害を防ぐタンパク質の働きが低いかどうかを示しています。

測定する項目

アポリポタンパク質A1(ApoA1)

ApoA1はアミロイドベータペプチドと結合して、その毒性を防御します。また、抗酸化作用を有しており、神経細胞の炎症を和らげてくれると考えられています。

補体第3成分(C3)

補体C3は、中枢神経における免疫担当細胞であるミクログリアを活性化する働きがあります。アミロイドベータペプチドはミクログリアによって排除されます。その過程には補体C3の働きが必要です。

トランスサイレチン(TTR)

TTRはアミロイドベータペプチドと結合して、その毒性を防御します。アルツハイマー型認知症以外でも、うつ病や統合失調症でその量が減少することが報告されています。

価格

20,000円(自費となります)

認知症の予防について

最近では、認知症を生活習慣病の一つと捉える考え方が出てきました。生活習慣病は、生活習慣の改善や早期の医療的介入によって、発症を防いだり進行を遅らせたりすることができます。

運動

運動をすることで血液循環が活発になり、脳の血流が増加します。特に有酸素運動は認知機能の低下を防ぐのに有効な可能性があります。例えば、ウォーキング、ランニング、エアロビクス、サイクリングなどです。テニス、水泳、ゴルフ、ダンスなどのスポーツをするのも良いでしょう。
はじめは短時間でも良いので、運動を習慣化することが大切です。最低でも20分間、週に3~4日行うのが効果的です。
また、日常生活の中で活動量をアップすることでも、予防効果を期待できます。例えば、歩くスピードを速める、休日は外出する、雑巾がけや風呂掃除を素早く行うなどです。

食事

脳に栄養を送るために食事は重要です。一つの食品や調理法に偏らず、色々な食品をバランス良く食べることが予防につながります。 特に注目されているのが、オリーブオイル、魚介類、野菜、ワインを多く摂る地中海料理と野菜、豆類、青魚が中心の和食です。
DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などのオメガ3系脂肪酸が、脳機能維持・神経保護作用を持つという報告があり、それらを多く含む青魚、亜麻仁油などの摂取が認知症予防に有効である可能性が示されています。現在、DHA、EPAは脂質異常症の治療薬として製品化されていますし、サプリメントとしても販売されています。
赤ワインなどに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、認知症の予防に有効な可能性があります。ただし、過度な飲酒は逆効果ですので、1日1杯(180ml)程度にとどめるのが良いでしょう。ポリフェノールには様々な種類があり、赤ワインの他にも、ブルーベリー、ウコン、緑茶、紅茶など色々な食品に含まれています。
一方、摂取しない方が良いのがトランス脂肪酸です。トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングに含まれており、それらを原材料としたパン、ケーキ、ドーナツ、クッキーなどは要注意です。トランス脂肪酸を取り過ぎた場合の健康への悪影響が注目されており、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増えHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減ってしまうため、動脈硬化が進行して認知症の危険度を高めることが示されています。

趣味

家に閉じこもり、人との交流が無い変化の少ない生活は、認知機能の低下につながります。
認知機能を高めることに効果のある趣味、例えば料理、旅行、ガーデニング、絵画、陶芸、囲碁・将棋などで、楽しく継続して行えるものがあれば積極的に取り入れましょう。

漢方薬

漢方

人参養栄湯(にんじんようえいとう)

人参養栄湯という漢方薬に期待が寄せられています。もともと病後、術後、慢性疾患などで疲労衰弱している場合に用いられる漢方薬で、12種類の生薬から構成されています(構成生薬:人参、地黄、桂皮、遠志、当帰、白朮、黄耆、五味子、芍薬、茯苓、陳皮、甘草)。人参養栄湯に含まれる生薬のうち、「人参」は抗疲労作用、記憶障害改善作用、骨密度改善作用、動脈硬化改善作用などが報告されています。また、「陳皮」には抗不安作用、神経保護作用が報告されており、「遠志」にも記憶障害改善作用、神経保護作用が報告されるなど、人参養栄湯による認知症改善の可能性が示唆されています。

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)

抑肝散加陳皮半夏は、神経過敏で興奮しやすく、怒りやすい、イライラする、眠れないなどの精神神経症状を訴える患者さんに使用されてきました。
抑肝散(構成生薬:蒼朮、茯苓、川芎、釣藤鈎、当帰、柴胡、甘草)という漢方薬に、陳皮と半夏という生薬を加えた構成となっています。
認知症の患者さんには、記憶力や判断力の障害のような「中核症状」と、周囲の人との関わりの中で問題となる「周辺症状」とがあります。この周辺症状には、幻覚、妄想、暴力、徘徊などがあり、こうした症状が介護をする人の大きな負担となっています。抑肝散加陳皮半夏は、この周辺症状を改善する可能性があり、神経の興奮を鎮めて、穏やかな生活を取り戻す手助けをしてくれます。

漢方薬は、他の認知症の治療薬(西洋薬)や向精神薬などと上手に組み合わせて使用することが必要です。

西洋薬

認知症症状の進行を抑制するお薬として、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの4種類が存在します。これらのお薬は、認知症を予防するために使用するのではなく、主にアルツハイマー型認知症と診断された方の治療の際に用いられるお薬です。飲み薬の錠剤だけでなく、貼るタイプもありますので、飲むことが難しい方にも使用できます。

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