認知症

2016.08.27

物忘れと認知症の違い

認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などのタイプが存在します。

アルツハイマー型認知症は、現在日本で最も多い認知症です。緩徐に進行し、記憶障害などの認知症症状を呈します。脳に老人斑(アミロイドβ)が蓄積し、大脳皮質の全般的な萎縮を認めます。

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害により認知機能障害が出現します。脳の障害が起きた場所によって症状が異なる「まだら認知症」となります。

レビー小体型認知症は、繰り返す幻視体験、早期よりみられるパーキンソニズムなどが特徴の認知症です。(パーキンソニズムとは、脳内のドーパミンが不足して起きるパーキンソン病と同じ症状を示す状態で、動作が遅い、表情が乏しい、手が震える、手足が固い、歩幅が狭くなるなどの症状です)

加齢に伴う物忘れと認知症とは、どのように異なるのでしょうか。

代表的な違いを表にまとめてみました。

加齢に伴う物忘れ  認知症の物忘れ
体験の一部を忘れる
(ヒントがあれば思い出せる)
体験したこと自体を全て忘れる
(ヒントがあっても思い出せない)
物忘れ(忘れっぽさ)を自覚している 物忘れの自覚に乏しい
探し物を努力して見つけようとする 探し物を誰かが盗ったということがある
作話はみられない 作話がみられる
作話:記憶の脱落を埋めるために事実と異なる答えをすること。
物忘れを取り繕うように実際にはない話を構成すること。
日常生活に支障はない 日常生活に支障をきたす
極めて緩徐にしか進行しない 進行性であり、悪化する

 

加齢に伴う物忘れ以外にも認知症とよく似た症状を呈する病気がいくつもあります。例えば、うつ病、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、ビタミン欠乏症などがそうです。

気になる方は、ぜひ早めにご相談ください。

2016.08.27

家族が気付く認知症の手がかり

家族が気付く、認知症の全般的な初期症状

・話に「あれ」「それ」が多くなる。

・人柄が何となく変わったように見える。

・物事に関心がなくなり、投げやりに見える。

・どことなく、だらしない感じで怠惰に見える。

・失敗が多くなり、言い訳をすることが多くなる。

・人付き合いを避け、閉じこもるようになる。

・同じことを言ったり、したりする。

・くどくなったり、ささいなことで怒りっぽくなる。

早期のアルツハイマー型認知症の手がかり

・同じ内容の事柄を何度も繰り返し尋ねるようになった。

・電話に対応しながら調理をするなど、2つの作業を同時にするようになった。

・物の扱いが下手になったり、鍋焦がしなど調理ミスをすることが多くなった。

・季節にそぐわない身なりをしたり、おしゃれを面倒がるようになった。

・冷蔵庫に同じ品物がたまったり、同じものを買ってくることがある。

・探し物をしていることが多くなった。

・小銭が財布にあふれていたり、紙幣での支払いが多くなった。

・迷子になったり、運転中に道に迷うことが多くなった。

・診察日や予約時間を間違うことが増えた。

・薬の飲み忘れや飲み間違いが増えた。

早期の脳血管性認知症の手がかり

・ある日突然、物忘れが悪化したり、言葉が出にくくなったり、手足に力が入りにくくなったりしたことがある。

・高血圧、糖尿病、脂質異常症を指摘されている。

・好きだった趣味に興味を示さなくなり、自宅に引きこもったり、テレビを見ながら横になっていることが多くなった。

・ささいなことで泣いたり、感情をコントロールできないことが目立つようになった。

・夜間の不眠が目立つようになった。